東️⚡️京⚡️感⚡️電⚡️帯⚡️通⚡️信 02

倉持さん

度目の山、お疲れ様でした。

今回は農作業と更に三度目の鹿解体作業もあり作業内容盛り沢山でしたが、とりあえずのミッションはクリア、更に帰りには久々にビアマイクを訪ね近況を語り合うという実りの多い一泊二日の旅となりました。今回は私が執筆担当する初回なので、主にこれまでの経緯と考えて来たこと、今感じている事を先ずは書きます。───鋸南町での具体的な作業については次回以降に。

鋸南町 2022/5/10

確かに鋸南町で体験する事はいちいち圧倒的ですよね、こちらの思考や情報処理の速度を上回って来る具体的な作業と、まごつく自身の身体を自覚せざるを得ない。普段東京で日常的にしかしほぼ無自覚に使っている身体の動かし方やコミュニケーションとは明らかに違う「山の目盛」に自身をチューニングし直す必要に迫られますね、毎回。
リアルにフィジカルに還元されるそのチューニングの「感じ」は、私にとってある種の覚醒も喚起します。これって多分、本来ヒトが持ち合わせているけれど、都市部で生活している限りは使わないソフトが改めて起動しだすからじゃないかなと思ってます。

思い返せば昨年の(もう何度目だったのか忘れましたが)緊急事態宣言やらマンボウの最中に「新大久保アンダーグラウンドマーケット」(註1) を始めた時から安房郡 鋸南町という近くて遠いその「地」が我々にインプットされましたね、yukalyさん(註2) が道案内~橋渡しとなってくれて。私は全くの個人的動機により2020年のコロナ禍が始まる少し前から日本の野生哺乳類による獣害~ 駆除の現状、それと外来動植物による在来種の危機的状況について、ちょこちょこ調べていた事もあり、「鋸南町の話実際に現場に行く事」で、幾つかのバラけていた「点」がかなりの速度とグルーヴを伴って繋がっていくのを感じました。

───東京の片隅でライヴや展覧会をやったりライヴイベントを開催している我々が、何故、鋸南町に向かう様になったのか?

倉持さんも書いている通り、新大久保アンダーグラウンドマーケットで出会った雄鹿の頭蓋骨がキッカケではありますが、やはり何より一度その現場をこの目で観てみたい、何が起きているのかを実際に確認したい、という欲求が芽生えたからだと思いますし、個人的には直感的にその繋がり~縁の中に都市部にいては見えて来ない何かがあるのではないか、と感じたからでした。

───実際の所、とてもそんな簡単な話では済みませんでしたが。

鋸南町 2022/5/11

普段 倉持さんも私も、おもに東京の表現の現場に結構長きに渡って身を置いている訳ですが、前提としてその日常的な活動領域である東京のアートや音楽について、そして鋸南町での農作業や害獣駆除のお手伝いについて、所謂ポリティカルな活動として世に問いたい訳では全くない。特に鋸南町に関してはそういった側面を無視する訳にはいかないけど、それをメインにする気は毛頭無い。私なりに自分達がやって来た事、今やっている事を捉え直してみると、あくまでも作り手としての立ち位置、つまり音~音楽や美術に関わっている立場からオルタナティヴな価値観やコミュニケーション(とネットワーク)を模索~創造し、実際に(再)構築してみる事なんじゃないかと思っています。そしてそれを共有出来る現場の人達と共に、とりあえずの通過点である「今」と、「これからの現場」を絶えず耕し続ける事。そんな感じでしょうか。───ちょっと硬めになりましたけど。

2011年の東日本大地震や2020年からのコロナ禍等、それまで漫然とやれて来た事、常識だと思わされていた事象が否応なく揺さぶられ、認識を改めざるを得ない大きな出来事を幾つか経験し、(当然の事ではありますが) オーガナイズのやり方、その根底にあるテーマ性、そしてライヴや作品のクリエイティヴ面も少しずつしかし確実に変わり続けてきました。(私自身もだいぶ歳とりましたしね)

2020年以降に「東⚡️⚡️⚡️⚡️帯」企画名義(註3)で複数回行なったbonoboでのイベントも「新大久保アンダーグラウンドマーケット」も「 N गो(註1)も今迄我々が続けて来たライヴイベント企画の現時点での最新アップデート版と言えます。スマートなアップデートだった事は一度もありませんけど。
そして2020年以降、ライヴハウスやクラブにかつての様にお客さんを集めるのはかなり大変ですが、以前の様な状況にはもう戻らないだろうし、そもそも以前と同じに戻る必要もないだろうという話は我々の間でよくしますよね。過去をなぞるのではなく、むしろ何か少しでも今迄にやってこなかったアイデアや動きを積極的に導入した方が良いですから。これはライヴの集客云々の話だけではなく、2020年以降のあらゆる商業的な行為に当てはまるのではないかと思っています。

鋸南町 2022/5/10

アーティストが農作業等を手伝い、金銭ではなく地産品を得るライヴ会場でそれらをCD等の音源付きで売るとか、または音源買ってくれた人にアーティストが収穫した野菜なり地産品をノベルティーグッズの様に付ける、とかでも構わない、馬鹿馬鹿しい様な事でも皆さん少しずつ色々試していけば良いと思うんですよね、もはやこれからは。
勿論、法律や行政との取り決めによる縛りはどの分野の流通や販売にもついて回りますし、ちょっとヘタうつとSNSで炎上もするんでしょうが、そこは「上手いことやる」って事で。───失敗上等、怒られてなんぼでしょう。

結局のところ、既存の企業資本による流通システムや販売力に真正面から対抗したって敵う訳ないし、実際それらを今更否定する必要もないと思いますが、そうでないといけないと思い込むのは、思い込まされているのはやはりおかしい。流通含め、改めて考えていきたいものです。

 

鋸南町 2022/5/11

そしてふと気が付けば今、20歳そこそこの若い衆がライヴハウスやクラブで活動を始めていますが、彼等の置かれている状況は日常的に相当過酷なものである事が散見されます。彼等は表現の現場でも経済的な活動の場に於いても過酷なフロントラインに立たされている。で、鋸南町に行くと過疎による人手不足とそこに暮らす皆さんの高齢化で立ち行かなくなりつつある農作業や土地整備、そして増え過ぎた野生動物に農作物を荒らされている農家の人達。彼等がその危機的状況のフロントラインに居る。

いったい、これはどういう事なんでしょう?

こういった現状を観るにつけ、まぁ、控えめに言っても明らかに何かがおかしい、バランスを欠いた状態に思えてなりません。これらの事象は倉持さんの言葉を借りるなら、現行の資本主義社会が取りこぼしているもの、という話に多分繋がってくるのではないか? 実際に我々~私に何が出来るのか、まだまだ解らない事ばかりですが、とりあえず頭と身体をフルに使って都市部と山通いの行き来の中から見えてくる(かも知れない) 新しい価値観の模索~創造についてをこの通信でやりとり出来たら良いですね。
引き続きよろしくお願いします。
伊東


伊東篤宏

1965>年生、美術家、OPTRONプレーヤー
蛍光灯音具 OPTRON開発者 兼 奏者
ソロ ライヴパフォーマンス以外にも ZVIZMOentangle、等のユニットで活動中美術家としては近年は平面絵画作品をメインに発表している。

特別付録 > Recommended by Ito Atsuhiro