騒音書簡2-24

2024年2月29日 創士くん、ついでに森田くんにも、 ひょっとして、と思いつつひと月経ってしまった。ひょっとして森田版『レクイエム』が送られてくるのではないか、その感想がこちらからの書簡第24葉になるのではないか、そう …

騒音書簡2-23

2024年1月28日 市田さま 君にコルトレーン役を引き受けてほしかったのは、なにも君をコルトレーンのような精神的求道者にしたいわけではないし、君のことをまったくそう思ってもいないが、たまたまコルトレーンとドルフィーの話 …

騒音書簡2-21

2023年11月28日 親愛なる良彦さま 「完全にってわけじゃない」けど、君が言うように、リズムが狂っている、あるいはリズムを狂わせるのは、自慢することではないが、僕のオハコかもしれない。いや、いや、もちろん自慢している …

騒音書簡2-20

2023年10月28日 レディース・アンド・ジェントルメン、 みなさんに向けて今回は書きます。前回の鈴木創士からの手紙は「まだ」私に宛てたものとは受け取れません。アルトーの言葉を自分のものとして私に届けているわけではなさ …

騒音書簡2-19

2023年9月25日 親愛なる市田君、 アルトーがヴァレーズとオペラを作ろうとしたのは、1932、3年頃だった。ヴァレーズの「Ionisation」も「Octandre」も作曲されていたが、レコードもないし、演奏会も稀だ …

騒音書簡2-18

2023年8月25日 鈴木創士兄、 アルトーとヴァレーズの話は、以前、貴兄の文章で読んだ記憶がある。そのときにも思ったが、アルトーはヴァレーズの特にどの曲にどのように惹かれたのだろう。文献的には知りようないかもしれないが …

騒音書簡2-17

2023年7月28日 親愛なる市田君、 アントナン・アルトー。ひとつの名前。単純にして同時に複雑な署名。僕が最初に書いた本は、『アントナン・アルトーの帰還』だった。小説仕立てだったが、監禁されていた精神病院を退院して、ア …

騒音書簡2-16

2023年6月28日 創士くん、 せっかくだからアルトーに託けた話をもう少しだけ。君の音作りに一定親しみ、君の小説を読み、また「偽の古典主義者」だという君の自己規定を知るにつけ、常々考え込んでしまう問いがある。これのどこ …

まとめ220321

2022年3月21日 市田良彦さま ひどい空音に襲来されていた時期がある。空襲警報が鳴り響いた。カチカチ山が騒音に包まれ、ケツに火がついたみたいだった。まことの耳鳴りだったが、それは空耳と区別がつかないていのものだと感じ …

騒音書簡2−15

2023年5月21日 親愛なる市田 前回の君の手紙に答えるべきことが色々あるようだ。 無関係のあり方も千差万別。僕は勝手にその一つをアラン・バディウ風に「非-関係」と呼んでいる。サルトルの話はすごく腑に落ちるし、怒るどこ …

騒音書簡2−14

2023年4月30日 鈴木創士殿、 もうすぐ「5・21」40周年ライブなんだね。その機会に君が、別働隊unit PとはいえEP-4にヴォーカルを入れるとは嬉しいニュース(にしてもPって何?)。たまたまマーク・スチュアート …

騒音書簡2-13

2023年3月31日 Mon camarade 僕も音楽と言葉の通常の合体には耐えられない。まあ、他人がうたっている歌を聞くとき、僕はほぼ言葉の意味を無視する、というか耳にほとんど入ってこないから、別にそれほど嫌悪感はな …

騒音書簡2-11

2023年1月31日 親愛なる友 歌……。すべての音楽、あるいは「音」が、「歌」に収斂するのかどうか僕にはわからない。最初に「歌」があったのか、「歌」とともに、「言葉」やメロディ、リズム、その他のものが、我々の「血肉」に …

騒音書簡2-10

2022年12月29日 鈴木創士兄、 困るなあ。僕は貴兄たちのアルバム──LAST CHANCE IN KOENJI──を批評するのに適任ではないと思うぞ。特に批評を貴兄が求めているのではない、ということは僕も分かってい …

騒音書簡2-09

2022年11月28日 Ma vieille branche, 1)2)どうもお互いの返答はうまく噛み合っていないようだが、というかこんな風の吹きまわしになるのが佐藤薫の仕組んだ往復書簡なのだろう。それに僕の設問の立て方 …

騒音書簡2-8

2022年10月29日 鈴木創士殿、 何に対しどう反論されているのか、ちょっとよく分からんが、とりあえずいくつか応えてみる。それらはたぶん、相互に連関しているはずだ。 1) 『鑑識レコード倶楽部』におけるアリスの位置は、 …

騒音書簡2-07

騒音書簡第七回
2022年9月30日 市田君 前回の君の手紙に反論がある。好き嫌いで物事を判断することは馬鹿げているし、反動的で無益だということも重々承知している。だが僕は「文学」が好きかとも、「哲学」が好きかとも聞いていない。そうすぐ …

騒音書簡2-6

2022年8月28日 創士くん、 音楽が好きかって? 俺には音楽絡みというわけではないのだが、一つの規範がある。いつのまにか出来上がった作業仮説のようなものにすぎないけれど。それは〈好き-嫌い〉でものを語らないということ …

騒音書簡2-5

2022年7月28日 こんにちは 君と同じように「比喩」を嫌悪している作家マグナス・ミルズの『鑑識レコード倶楽部』を読ませてもらったよ。だけど俺にはこの比喩の拒否はこの作家特有のレトリックにしか見えなかったし(たとえそれ …

騒音書簡2-04

騒音書簡第4回
2022年6月25日 So-siどの、 『カラマーゾフの兄弟』の代わりに、最近の小説を一つ読んでみた。君から文学者──「文学的な人」ぐらいの意味か──として認めてもらえたからというばかりではなく、誕生日プレゼントに「騒音 …

騒音書簡2-03

2022年5月20日 親愛なる友、 君の質問に答えなければならないね。君が指摘する僕の文章、とにかくそれは「文学」だ。「……のように」だが、「直喩」でも「隠喩」でもいい、そいつは「現実」の裏をかき、その断片をかすめ取るた …

騒音書簡 2-02

2022年4月29日 So-siくん、 そう来たか、ジェイムズ・ジョイスか。ノイズ・ミュージックはさしあたり『フィネガンズ・ウェイク』の「ような」ものか。最後までそうであるかはさておき。前々から小説家としてのきみにいつか …

騒音書簡 2-01

騒音書簡
2022年3月21日 市田良彦さま ひどい空音に襲来されていた時期がある。空襲警報が鳴り響いた。カチカチ山が騒音に包まれ、ケツに火がついたみたいだった。まことの耳鳴りだったが、それは空耳と区別がつかないていのものだと感じ …